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2023年3月末、大学などで働く研究者が大量に雇い止めされる!!
この「研究者の雇い止め」はYahooのトップニュースになるなど、研究者界隈のみならず世間からも注目されたトピックスです。
世界的な科学誌「Nature」にも取り上げられました。
この問題が生じる一因は、任期付きの非正規雇用が多いという研究界隈特有の雇用形態にあります。
この記事では、研究者の雇い止め問題の内容やその背景までまとめて紹介します。
\この記事のポイント /
雇い止め問題の発端は2013年に無期転換ルールが成立したことです。
これにより、研究者は同一機関で10年以上、任期付きの非正規雇用として働いた場合、無期雇用へ転換できることになりました。
任期付きの研究者の場合、10年勤務すれば無期雇用に転換させてもらえるの???
いや、それが、喜んでいる場合ではありません。
有期雇用から無期雇用に転換できる時期を前に、各大学が無期転換を避けるために大量の雇い止めをするのではないか、との懸念の声があがっています。
有期雇用の契約満了時に、雇用者側が契約の更新をしないこと。
期間の定めのある契約が終了した時点で雇用が自動的に終了することなので、解雇とは全く別の意味。
違法ではない。
2013年の「無期転換ルール」成立後、2023年3月末で10年を迎えます。
その時点で継続勤務10年目を迎える任期制の研究者が、国立大86校などで3099人、所管する5つの研究機関で657人と文部科学省は公表しています(22年2月時点)。
また、日本共産党の田村智子議員が2022年5月17日の参院内閣委員会にてこれらの問題を追及した際、2023年3月末で雇い止めの恐れのある研究者の数は、国立研究機関(大学・研究所)をあわせて約4500人にのぼることを示しました。
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「無期転換ルール」施行後に迎える初めてのターニングポイントである2023年3月末、各大学や研究所での動きが注目されています。
\ ポイント /
本国を代表する公的研究所である理化学研究所(通称:理研)においては、この雇い止めを阻止するために労働組合(理研労)が積極的に運動を起こしています。この理研での一連の流れを例にして詳しく説明していきます。
理研では現在約8割が非正規雇用です。
国を代表する研究機関だというのに…
研究主宰者(PI )という、研究室を率いて多くの部下(研究者やポスドク、学生)をもつチームリーダー的な研究者でさえ、任期制ということも稀ではありません。
#理研 理化学研究所とは、
— 理化学研究所労働組合(理研労) (@riken_union) March 25, 2022
∗文部科学省所管の科学技術全般を対象とする国立研究開発法人
∗埼玉県和光市に本部をおき、国内外に多くの事業所、事務所をもつ。
∗直接雇用で4800名程度の職員。#雇い止め #雇止め pic.twitter.com/vfbVRvDByX
理研労の公表によると、2022年時点で直接雇用約4800人のうち約3800人が任期制の職員とあります。
こんなに多いとは…?!?!
このように研究職には任期のある非正規職員が非常に多いのです。
このように増えている任期制の研究者ですが、かならずしも短期間で職場を転々としているわけではなく、有期契約を更新することで同一機関で長期に働いている場合も多くあります。
任期の長さは、各大学や研究所がそれぞれで決めており、助教で1~3年、講師や准教授で3~5年ほど。
以下の図では大学における任期の長さを示しており、ばらつきが認められるなかで比較的多いのは「1年」と「5年以上6年未満」。
上記のような研究者の任期は、審査などを受けて認められれば契約更新可能であることも多いです。
以下の図のように契約可能な最長期間は10年以上が約4割を占めています。
つまり、契約更新を繰り返して、同一機関(研究室)で長期で働いている方も多いということ。
理研の中にも、契約更新を繰り返して10年・20年と研究を続けてきた方が大勢いるようです。
これまでは任期制のポストといっても長く働ける環境があったんだね
そう、それが変わってしまいそうなんです…
非正規雇用が大半を占める理研ですが、「無期転換ルール」の成立を受けて2016年に就業規則を以下のように変更しています。
理化学研究所では、無期転換権を獲得させないために、2016年度に、業務継続の有無、予算の有無にかかわらず、
「国立大学・研究機関における大量雇い止めについてのOnline 懇談会」資料より抜粋
・事務系で「5年を超えた契約を行わない」(5年の雇用上限)、
・研究系で「10年を超えた契約を行わない」(10年の雇用上限)
を不利益変更で導入。
雇用上限は無期転換を意図的に避けるための対策といえます。
大規模な研究プロジェクトが進行している途中でも、上限年数に達してしまえば、途中で終了となります。
このような雇用上限の変更は理研のみならず、多数の大学でも行われています。
<各国立大学法人及び大学共同利用機関法人における 無期転換ルールへの対応状況に関する調査 結果概要(平成30年度)>
例外的に無期雇用への転換を認める場合はあるとしている機関もあるけど、その基準の公平性などが気になる点ですね
理研においては2016年に変更した就業規則に則り、2023年3月末で研究職員297人が「10年の雇用上限」で雇い止めになると理化学研究所労働組合が公表しています。
その際、業績に関係なく雇い止めされるということです。
その中には研究主宰者(PI)が60人以上含まれるため、その研究室で働く約300人の職員がさらに雇い止めになり、総数は600人に及ぶようです。
2023年3月末で研究系職員600人の雇止め
— 理化学研究所労働組合(理研労) (@riken_union) March 25, 2022
*研究職員297人が「10年の雇用上限」で雇止め
* 60人以上の研究室の主宰者(研究チームリーダー)が含まれる
研究室主宰者雇止めでそこで働く職員約300人が雇止め#理研 #雇い止め #雇止め pic.twitter.com/YkRtzED9Km
上でも述べましたが、雇い止めの怖れのある国立大学ごとの研究者数は以下の通りです。
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日本共産党の田村智子議員が2022年5月17日の参院内閣委員会にてこれらの問題を追及した際、2023年3月末で雇い止めの恐れのある研究者の数は、国立研究機関(大学・研究所)をあわせて約4500人にのぼることを示しました。
これは2023年3月末に限った話ではなく、これを皮切りに毎月・毎年と果てしなく続く問題です。
この研究者たちはこの先どこへ…?
本当に向いている職 が見つかる
雇い止めになるのは研究職の中でも任期付きのポスト。
この任期付きポストについて、代表的な以下の2つの職について説明してきます。
いずれも若手研究者が多くを占めています。
最近では、博士号を取得しても、アカデミアポストが不足しているために、任期付きの大学教員ですらなかなか就くことができません。
不足するポストを補うための受け皿として誕生したのが博士研究員(ポストドクター:ポスドク)というポストであり、現在でも1.5万人以上いるとされています。
ポスドクは研究室の個別の研究費(科研費など)やあるプロジェクトの一員として任期を設けた上で雇用されており、その待遇の不安的さ(経済面、雇用の安定性など)から、問題となっています。
今回の雇い止めで真っ先に対象となる職といえます。
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このポスドクのほとんどは40歳以下の若手研究者です。
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ポスドクについて詳しく知りたい場合は以下の記事もご参考ください。
■ ポスドク問題(就職状況や給料)
大学教員になれたのに雇い止めの対象になるの?!
そうなんです。大学教員でも任期制の場合はもちろん対象です
大学職員における任期制のポストの割合はここ20年ほどで増加し、現在では約4割ほどです。
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任期付きが増えている集団は、「30~40歳代」「助教、特任助教」という若手のポストです。
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大学教員における任期付きポストは、1997年に大学教員の任期制を可能とする法律が成立したことにより増え始めました。
大学教員の流動性を高め大学における教育研究の活性化を図るために、大学教員等の任用に当たり任期を付すことができる。
『大学の教員等の任期に関する法律』(平成9年法律第八十二号)
目的は、「教員の流動性を高めることで、教育研究の活性化を図るため」
つまり、競争を是とすることで研究活動を活発化しようという動きで、それは自然の流れでもあるといえます。
「ろくに研究も行わずにのんびり終身雇用」という研究者を生み出さないための対策ですね。
さらに現在では、
大学の基盤運営費が足りず、無期雇用する予算がない
国の若手研究者支援の方針により、若手研究者の雇用比率をあげる必要がある
若手比率を高めるべしという文科省からの通達、セットで若手安定雇用経費を毎年出すべきなんだけど、金を出さないで若手比率を高めろっていったら、任期付きで安く数多く若手を雇おうって自然となるわな。
— クシミタマ (@Beethovener) June 9, 2022
などの点によって、たとえどんなに優秀な研究者がいても容易に無期雇用することが出来ず、任期をつけて若手研究者の雇用を増やすしかないという苦しい現実もあります。
そもそも無期転換ルールは、長らく有期雇用で働いている労働者は無期転換して雇用を安定化しようという目的としたものでした。
文部科学省のサイトにも、「無期転換申込権が発生する前に雇い止めをすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではありません」と明記してあります。
しかしながら、その意図とは全く反して、雇い止めが前提の雇用形態になってしまったのです。
「例え任期付きであっても契約更新することで長らく勤めることができるかもしれない。」そんな可能性が閉ざされてしまいました。
このような研究者の雇用の不安定さは以下のように日本の研究力の低下を生み出すことになります。
優れた研究成果を上げた研究者の多くは、若い時期にその成果の基礎となる研究を行っています。
以下の図ではノーベル賞受賞のきっかけとなった業績をあげた当時の研究者の年齢を表しています。
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しかしながら、雇い止めの対象になるのは任期付きポストに就いていることの多い若手~中堅世代の研究者であります。
次のポストを狙うために業績が必要になることから、短期的に結果の出やすい研究の方がどうしても優先順位が高くなります。
長期的な展望をもった壮大な研究に着手し辛い環境にあります。
雇い止め対象となっている研究者たちは次のポストを探すしかありません。
しかし、残念ながら優れた業績を持つ研究者ですら、国内ではなかなかポストが見つからないという現状があります。
教員ポストが見つからない場合は、ポスドクとして薄給で働くしかない。
このような研究者は海外にてポストを見つけたり、一般企業へ転職して最終的には研究者を辞めるという決断だってありえます。
お給料が低すぎてもう耐えられない‥市民税を差っ引いてもらうようにしたらもう10万切ってる‥もう無理だ‥いっぱい研究して業績あげて妬まれてるかもと思うことあるけど実態はこれです‥さよなら日本の研究👋 給与をあげない限りもう日本が競争力を取り戻すことはないでしょう。
— Reina Tonegawa-Kuji MD @EP💙💛 (@ReinaTonegawa) June 16, 2022
国内における研究人口が減るのは必然だと考えられます。
このように「不遇な研究者」というイメージが定着してしまった研究者になりたいという若者がいるでしょうか?
優秀な若者ほど研究者を避けるようになるのではないでしょうか?
実際に理系の優秀な若者は医学部へ集中しているという話もあります。
後続する若者が減ってしまうことは、研究分野の衰退を生むことになります。
このように雇い止め問題を含めた研究者の雇用の不安定さは日本の研究力の低下を引き起こす重大な問題です。
以下の記事でも詳しく解説されています。
研究者の雇い止め問題についてまとめました。
研究者の雇用形態についての根深い問題が無期転換ルールによって浮き彫りになったという印象です。
研究者の流動性を担保しつつ、雇用の安定性とのバランスをどのように調整していくかが今後の課題です。
最後までお読みいただきありがとうございました。記事更新のお知らせはXでも行っています。良かったらフォローしてくださいね(@HAcademianote)
研究者とは大学院に進学する学力があればなれますが、実は研究者を続けることの方が難しいです。
これは性格的な向き不向きによります。
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